エックスサーバーとwpX Speedの比較(違い)

エックスサーバーとwpX Speedは、どちらも株式会社エックスサーバーが提供しているレンタルサーバーのブランドです。

料金やサービス内容はほぼ同じですが、とても”重大な違い“があります。

この記事では、両方使用したことある僕がエックスサーバーとwpX Speedの違いを分かりやすくまとめてみました。

エックスサーバーにするか、wpX Speedにするか、迷っている方は、是非、参考にしてください。

エックスサーバーとwpX Speedの比較表

まずは、比較表を見てみましょう。

  エックスサーバー wpX Speed
プラン X10 W1
月額費用 1,100円(税込) 1,320円(税込)
(2円/時)
初期費用 3,300円(税込) 0円
ディスク容量 200GB 200GB
転送量 70GB/日 2.5TB/月
マルチドメイン 無制限 無制限
サブドメイン 無制限 無制限
MySQL 無制限 無制限
メールアカウント数 無制限 無制限
独自SSL 無料
(クイック認証SSL)
無料
(クイック認証SSL)
稼働率 99.99%以上 99.99%以上
サーバー性能 第2世代「AMD EPYCTM」採用(48コア&大容量512GBメモリ)
バックボーン 1.39Tbps
バックアップ Web・メールデータ「過去7日分」
MySQLデータベース「過去14日分」
Web・メールデータ・MySQLデータベース「過去7日分」
電話サポート 平日10:00~18:00
メールサポート 24時間365日
高速化機能 nginx
NVMe
PHP7
Xアクセラレータ
HTTP/2
FastCGI
OPcache
ブラウザキャッシュ設定
nginx
NVMe
PHP7
HTTP/2
ブラウザキャッシュ設定
オートスケール設定
対応サイト・CMS すべて WordPress

上の比較表を見ると、

  • 月額費用
  • サーバー性能およびバックボーン
  • サポート体制

に違いはありません。

重大な違い

2つを比較するとき、気をつけなければならない重大な違いは、WordPress以外も使えるかどうかです。

エックスサーバーは、すべてのCMS(Movable Type、Joomla!、zen cart、Concrete5、EC-cubeなど)やCGIが使え、HTMLで静的なWebサイトを運用するのにも向いています。

wpX Speedは、WordPressのみ運用できます。

その他の違い

その他を比較すると「ディスク容量」「使用可能なドメイン数・MySQL」「独自SSL」「サーバー性能」「バックボーン」など、ほとんど項目で同じとなっています。

僅かな違いと言えば、

  • 月額料金
  • 初期費用
  • バックアップ
  • 高速化機能

ぐらいです。

エックスサーバーは、初期費用が3,300円かかりますが、wpX Speedと比べて毎月220円(年間2,640円)安くなっています。

また、バックアップについては、MySQL(ログイン情報、ウィジェット、記事内容など)の保存期間が14日と長くなっているのもメリットです。

ここまで読むと、エックスサーバー一択と思ってしまいますが、実際はどうなのでしょうか?

サポートセンターに問い合わせてみた

その辺の疑問を解消するために、今回、株式会社エックスサーバーのエックスサーバーサポートセンターにメールで「エックスサーバーとwpX Speedの違いについて」問い合わせてみました。

以下、エックスサーバーサポートセンターの回答です。

お問い合わせいただきありがとうございます。

wpX SpeedはWordPress専用に最適化したレンタルサーバーとなります。

次世代の接続インターフェース「NVMe(エヌブイエムイー)」の採用や、
WordPressサイトをキャッシュなしで10倍以上(※)高速化する
専用の高速・安定化機能の対応など、様々な技術を導入しております。

ただ、エックスサーバーとは異なり静的HTMLや
WordPress以外のCMSツールなどWordPress以外の
プログラムでのWEBサイトの構築は想定されておりませんのでご留意ください。

また、表示速度につきましては体感的に変わるということは
ないかと存じます。

なお、大きな違いとしてアクセス数や転送量の変動に伴う
オートスケールの設定も可能でございます。

▼ご参考URL
https://www.wpx.ne.jp/service/functions.php

各仕様の詳細につきましてはwpX Speedのお問い合わせ窓口より
ご確認いただければと存じますが、上記につきまして
ご参考いただければと存じます。

なお、比較的エックスサーバーの方がより多くの用途にお応えを
可能とするため多機能でございます。

ご利用のサービスがどのような機能を求めるかで
ご判断いただければと存じます。

何か、ご不明な点などございましたらお気軽にお問い合わせください。

何卒よろしくお願いいたします。

オートスケール設定

回答では、大きな違いとしてwpX Speedではオートスケール設定ができることがあげられています。

オートスケール設定とは、アクセス量や転送量の変動(CPU使用率、メモリ使用率、ディスク使用率)に応じて、wpX Speedのプランを変更することを言います。

wpX Speedのプランは「転送量」ごとに

  • W1:2.5TB/月
  • W2:3.0TB/月
  • W3:3.5TB/月
  • W4:4.0TB/月
  • W5:4.5TB/月
  • W6:5.0TB/月
  • W7:5.5TB/月

となります。

通常、レンタルサーバーでは、ニュース掲載やSNS拡散などで急激にアクセス数が増加した場合、サーバーダウンが発生するケースがあります。

もし、サーバーダウンが発生した場合は、せっかくユーザーが訪れたのに「503エラー」などの画面が表示されて、広告収入などの機会損失に繋がりかねません。

そんなバズった場合に備えて、少し余分に性能の高いレンタルサーバーを契約すれば良いのですが、その分、月額料金は高くなり無駄なコストが発生します。

そこで便利なのがwpX Speedのオートスケール設定です。

オートスケール設定をしていれば、急激にアクセス数が増加しても「W1」→「W2」→「W3」とプランが自動的に変更されます。

wpX Speedでは、通常時は月額料金を抑えてコストを削減。

急激にアクセス数が増えたときは、自動的に機能を強化して機会損失を防げるということですね。

速度面

回答では、wpX SpeedはWordPress専用に最適化したレンタルサーバーと案内されています。

その他にもwpX Speedには、

  • 次世代の接続インターフェース「NVMe(エヌブイエムイー)」
  • WordPressサイトをキャッシュなしで10倍以上高速化

など、様々な技術を導入していると回答されていました。

しかしながら、両者では、表示速度につきましては体感的に変わるということはないと明記されており、どちらを選んでも速度面では正解と言えます。

レンタルサーバーを選ぶときは、表示速度は重要です。

なぜなら、Webサイト・ブログの表示速度が高速であれば、訪問者が快適にページを見れるだけでなく、SEO対策(Googleの検索順位)でも優遇されるメリットがあるからです。

大手通販サイトのAmazonは「ページの表示速度が0.1秒遅くなると売上が1%減少する」とも発表されるほど重要な要素となっています。

では、エックスサーバーとwpX Speedでは、どのような高速化技術が導入されているのでしょうか?見ていきましょう。

nginx(エンジンエックス)

エックスサーバーとwpX Speedでは、Webサーバーのソフトウェアに「nginx」を採用。

従来のApache(アパッチ)と比べて、大量の同時アクセス処理に強く、サーバーダウンが発生しにくい仕組みになっています。

出典:エックスサーバー

nginxの代表的な機能としてあげられるのが”リバースプロキシ“です。

リバースプロキシについて、細かく説明すると、仕組みが複雑すぎて訳が分からなくなってしまいますが、簡単に言うと、Webサーバーの1つ手前に配置され、代わりにサイト情報を返してくれるサーバーのことです。

メリットとしては、主に

  • Webサーバーの負荷分散
  • キャッシュによる高速化
  • セキュリティ対策

があげられます。

Webサーバーの負荷分散

Webサーバーの負荷分散をすることで、複数のWebサーバーに負荷(処理)を分散でき、処理能力の向上が実現可能です。

イメージとしてはこんな感じ。

分かりやすく言えば、パソコンのCPUが「シングルコア(1つ)」から「トリプルコア(3つ)」になったようなもの。

人間でいえば、今まで「1人でしていた仕事」を「複数人で分担してする」ようなイメージです。

コンビニでも、レジが1つより、レジが2つの方が処理が速くなり、客の待ち時間も減りますよね?

キャッシュによる高速化

さらに、リバースプロキシでは、キャッシュの処理も行われています。

同時に独自の高速化システムを実行する「wpX Cache Controller」プラグインも取り入れられています。

通常、動的なWebサイト(WordPress)を開くときは、毎回、毎回「PHPからHTMLを生成する処理」が行われ、その都度、処理に時間が掛けられます。

その時間のロスを解消するのが、”キャッシュ”です。

あらかじめ、「PHPからHTMLを生成する処理」を行い、その内容をサーバー側に「キャッシュ」として保持。

「PHPからHTMLを生成する処理」の時間を無くすことで、ページの表示速度を高速化&サーバーの負荷を下げてくれます。

レンタルサーバーのキャッシュの図解

一応、エックスサーバーを使っていても、WordPressのプラグイン(WP Super Cache、Quick Cache、DB Cache Reloaded Fixなど)でキャッシュの処理はできます。

ただ、トラブルが多いのも事実で、高度な知識を持っていない素人の方に「キャッシュ系プラグイン」は、おすすめできません。

(僕も以前に「WP Super Cache」を使ったことがありますが、突然画面が真っ白になったり、予期せぬエラーがでました。)

wpX Speedは、素人の方であっても、安心して”キャッシュ機能”を使って、Webサイト・ブログの速度を向上できるサーバーといえます。

もちろん、wpX Speedの管理画面から、ドメインごとに、クリック1つで「キャッシュ」のON/OFFが可能です。

まとめ

株式会社エックスサーバーが提供するサーバーは、両方とも性能がとても高いため、どちらを使っても快適な運用ができます。

大きな違いについては、

  • エックスサーバーは、どのようなWebサイト・ブログを運用するのにも向いている多用途なサーバー
  • wpX Speedは、WordPressのみを運用するのに向いているWordPress専用サーバー

といったところです。

基本的には、エックスサーバーをおすすめしますが、”WordPressでブログを書くだけ”ならwpX Speedもおすすめです。

実際、当ブログもwpX Speedで運用していますが、確かに快適な表示速度で満足しています。

wpXからwpX Speedにレンタルサーバーを移行した

2 件のコメント

  • welcartプラグインを入れた場合で「決済機能」を使うとwpxでは不具合が出るようですが、このような懸念がある場合エックスサーバの方がいいのでしょうか?何か情報ありましたら教えてください。ちなみに現在はお名前ドットコムでwelcartの決済機能で不具合が起こり、引っ越そうかと思っています。

    • 結論から言うと、プラグインを確実に動作させたいのであれば、エックスサーバーを強くオススメします。
      Wpxサーバーは、WordPressに最適化されている一方、自由度が劣ってしまいます。
      (以前よりは自由度に関して改善がなされていますが、独特な仕様は少なからず存在します。)
      もし、何か不具合が発生して、ネット上で解決策を見つけても、Wpxサーバーでは仕様で細かな設定ができなかったり、解決に多大な時間を要する可能性があります。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    サラリーマンをしながら、当ブログを運営していましたが、2018年に独立し現在はフリーランスとして活動しています。今まで、数々のWebサイト・ブログを構築してきました。このブログでは、今までの経験で得た知識を活かし、Web制作・SEO関連を中心に、最新のIT関連ニュースを発信。また、ファイナンシャル・プランナー技能士の資格を活かして金融関係の情報も発信しています。