新しくホームページ(WordPressなど)を立ち上げたい。
そのためにはレンタルサーバーを契約する必要がありますが、色々と比較検討をする中で候補に挙がってきやすいのが”エックスサーバー”と”さくらのレンタルサーバ”の2種類です。
この記事では、両方使用したことある僕がエックスサーバーとさくらのレンタルサーバの違いを分かりやすくまとめてみました。
エックスサーバーにするか、さくらのレンタルサーバにするか、迷っている方は、是非、参考にしてください。
目次
エックスサーバーとさくらのレンタルサーバの比較表
まずは、比較表を見てみましょう。
エックスサーバー | さくらのレンタルサーバ | |
---|---|---|
プラン | X10 | スタンダード |
月額費用 | 1,000円(税抜) | 396円(税抜) |
初期費用 | 3,000円(税抜) | 953円(税抜) |
ディスク容量 | 200GB | 100GB |
転送量 | 70GB/日 | 80GB/日 |
マルチドメイン | 無制限 | 100個 |
MySQL | 50個 | 20個 |
メールアカウント数 | 無制限 | 無制限 |
独自SSL | クイック認証SSL(無料) | Let`s Encrypt(無料) |
稼働率 | 99.99%以上 | 99.99%以上 |
Webサーバー | nginx | nginx |
サーバー性能 | CPU:Intel Xeon Gold クロック周波数:2.60GHz コア数:24コア メモリ:256GB、SSD |
CPU:Intel Xeon E5-2650 クロック周波数:2.30GHz コア数:10コア メモリ:48GB、SSD |
バックボーン | 722Gbps | |
バックアップ | Web・メールデータ「過去7日分」 MySQLデータベース「過去14日分」 |
Web・メールデータ・MySQLデータベース「8個」 |
電話サポート | 平日10:00~18:00 | 平日9:45~18:00 |
チャットサポート | 対応なし | 受付時間:平日10:00~18:00 |
メールサポート | 受付時間:24時間365日 | 受付時間:平日10:00~18:00 |
高速化機能 | PHP7 PHPモジュール HTTP/2 FastCGI Xアクセラレータ mod_pagespeed |
PHP7 PHPモジュール HTTP/2 |
対応サイト・CMS | すべて | すべて |
※月額料金は1年契約(年払い)したときの料金です。
上の比較表を見ると、
- 月額料金
- 初期費用
- ディスク容量
- マルチドメイン
- サーバー性能
- サポート体制
- 高速化機能
といった項目で違いがあることが分かります。
経済性
レンタルサーバーのコストを抑えたいなら”さくらのレンタルサーバ“一択です。
毎月の固定費である月額料金を
- 1年間で7,248円
- 2年間で1万4,496円
- 3年間で2万1,744円
も節約することができます。
初めてホームページを作成するのであれば、サイトの収益がゼロであっても懐がほとんど痛まない”さくらのレンタルサーバ”を選択すると良いでしょう。
転送量
それぞれの転送量を比較すると”さくらのレンタルサーバ“の方が1日10GBほど多くなっています。
転送量とは、端末(パソコンやスマートフォンなど)とサーバーでやり取りされるデータ(文字、画像、動画など)の合計サイズのことです。
さくらのレンタルサーバでは、1日に80GBまでなら問題なく動作保証するとしています。
逆に言えば、1日80GBを超えてしまうと、Webサイトが表示されなくなる可能性があるということです。
では、1日80GBは、どのくらいのPV数まで耐えられるのでしょうか?
1PVあたり2MBで計算すると、
- 1GBで500PV
- 10GBで5,000PV
- 30GBで1万5,000PV
- 50GBで2万5,000PV
- 70GBで3万5,000PV(エックスサーバー)
- 80GBで4万PV(さくらのレンタルサーバ)
となります。
これは1日に耐えられるPV数ですので、1ヶ月(30日)で想定すると、
- エックスサーバーは105万PV
- さくらのレンタルサーバは120万PV
までのアクセスに対処できる計算になります。
当ブログの1ヶ月のPVは多くても月20万PVほどですので、どちらを選択しても全く問題ありませんね・・・。
(もっと増やしたいところですが、なかなか難しい!)
月間100万PVあれば、ブログだけで飯が食っていける”ブログ飯”も可能なレベルなので、ブログ初心者であれば、転送量はそこまで気にする必要はありません。
いざとなれば、プラン変更により転送量を簡単に引き上げることもできます。
複数サイトを運用
複数サイトを運用したい場合は、エックスサーバーの方が優れています。
エックスサーバー | さくらのレンタルサーバ | |
---|---|---|
静的サイト | 無制限 | 最大100サイト |
WordPress | 最大50サイト | 最大20サイト |
ディスク容量 | 最大200GB | 最大100GB |
ただ、いくつかのサイト・ブログを運用するだけなら、どちらを選択しても問題ありません。
ディスク容量については、実際に200ページ規模のブログを運用して”800MB(0.8GB)”ほどの消費しかないので、さほど気にする必要はないでしょう。
サーバー性能
サーバー性能は”エックスサーバー“に軍配が上がります。
サーバー性能は、Webサイトの表示速度や安定性にも大きく影響を与えるため、比較検討する上で重要なポイントとなってきます。
両者のサーバー性能を比較をすると、
エックスサーバー | さくらのレンタルサーバ | |
---|---|---|
CPU(種類) | Intel Xeon Gold (プロセッサー Scalable ファミリー) |
Intel Xeon E5-2650 (プロセッサー E5 ファミリー) |
CPU(クロック周波数) | 2.60GHz | 2.30GHz |
CPU(コア数) | 24コア | 10コア |
メモリ | 256GB | 48GB |
SSD | ◯ | ◯ |
となります。
CPU
CPUとは、人間の身体で例えると頭脳に当たります。
ここの性能が高ければ高いほど、サーバーの処理能力が高く、あらゆる作業を短時間で終わらすことができます。
両者のCPUを高い順番に並べると、
- Intel Xeon Gold(エックスサーバー) > Intel Xeon E5-2650(さくらのレンタルサーバ)
となります。
Intel Xeon Goldは、Intel Xeon E5-2650の上位モデルであり、CPU性能は約1.5倍に向上。
さらには、サーバー向けのCPUとして、クラウドコンピューティングやAI(人工知能)など、高度な処理能力を必要とするケースで使われることも想定されています。
クロック周波数
クロック周波数とは、1秒間に発生する電気信号「OFF(0)」と「ON(1)」の振動数です。
一般的には、クロック周波数が高ければ高いほど、CPUの性能が高くなります。
なぜなら、コンピューターの世界では、すべての情報が電気信号「OFF(0)」と「ON(1)」で表現されており、この切り替えスピードが速いほど処理できる情報量が多くなるからです。
なお、
- 1Hz:1秒あたり1回
- 1KHz:1秒あたり1000回
- 1MHz:1秒あたり100万回
- 1GHz:1秒あたり10億回
を示しており、エックスサーバーの2.60GHzは、1秒間に26億6,000万回の電気信号を発生させていることになります。
しかしながら、最近は「クロック周波数が高い = CPUの性能が高い」とは言えなくなりました。
というのも、クロック周波数には発熱問題があり、これから紹介するコア数の方が重要になってきたからです。
コア数
コア数とは、簡単に言えば、頭脳の数のことです。
CPUの性能に大きく影響を与え、基本的には「コア数が多い = CPUの性能が高い」と考えていいでしょう。
例えば、100の仕事があったとします。
- 5人ですれあ、1人あたり20
- 10人ですれば、1人あたり10
- 20人ですれば、1人あたり5
となり、当然ながら20人で分担した方が、仕事は速く片付きます。
エックスサーバーは、さくらのレンタルサーバよりコア数が圧倒的に多いため、作業スピードが桁違いに速いと言えます。
メモリ
メモリとは、簡単に言えば、作業スペースのことです。
いくら頭が良くても、作業スペースである”机”が小さければ、その能力を十分に発揮できません。
ユーザーの大量流入などによりメモリが不足すると、CPUの処理能力に余裕があったとしても、作業スペース不足により表示が遅くなったり、最悪の場合は”サーバーエラー“によりページが表示されなくなります。
エックスサーバーのメモリは”256GB”と余裕があり、バズったことにより一時的に多くのユーザーが訪問してきても耐えられる性能となっています。
高速化機能
高速化機能で言えば、エックスサーバーが先を進んでいます。
次の高速化機能を設定画面から「ON」「OFF」の切り替え一つで導入可能です。
Xアクセラレータ
エックスサーバーの高速化機能の中でも優れているのは、以前に当ブログでも紹介した「Xアクセラレータ」です。
こちらは、
- 静的ファイルの高速化
- PHPプログラムの高速化
が実現できる魅力的な機能となっています。
静的ファイルの高速化 | 静的ファイルのキャッシュをサーバーに保持することで、サイトを高速化したり、大量アクセス時にサーバーの負荷を減らせる機能です。 |
---|---|
PHPプログラムの高速化 | PHPプログラムの処理速度を最大20倍(エックスサーバーのApache Benchコマンドのパフォーマンス比較)まで向上させる機能です。 |
静的ファイルの高速化では、「PHPからHTMLを生成する処理」の時間を無くすことで、ページの表示速度を高速化&サーバーの負荷を下げてくれます。
mod_pagespeed
mod_pagespeedとは、Googleが開発したWebサイトを高速化させるための拡張モジュールです。
次のような変更を自動的に加えることで、Webサイトのデータを圧縮して、ページの表示を高速化させることが可能です。
CSSやJavaScriptの最適化 | HTMLから呼び出す複数の外部ファイルを1つのファイルにまとめる。空白や改行を削除するなど。 |
---|---|
画像ファイルの最適化 | メタデータやプロファイルを削除する。HTMLに画像データを直接記述する。自動でスプライト画像を作成するなど。 |
HTML文書の最適化 | コメントを削除する。空白や改行を削除する。不要な引用符を削除するなど。 |
WordPressのインストール
どちらもWordPressの簡単インストール機能が付いていますが、”エックスサーバー“の方が簡単です。
基本的にエックスサーバーでは、
- WordPressのインストール
だけで完了します。
一方、さくらのレンタルサーバでは、
- データベースの作成
- WordPressのインストール
- ドメインの設定
が必要となってきます。
特にデータベースの作成とWordPressのインストールをするときに「データベース名」「データベースパスワード」など指定しなければならず、初心者にとっては戸惑うことも多いでしょう。
また、普通にWordPressをインストールしただけだと、トップページが「ドメイン名+ディレクトリ(例:https://webcommu.net/wp)」になってしまうので、ドメインの設定をする手間も増えてきます。
どちらもサポート体制が充実しているので、電話やメールで確認して作業すれば構築まで持っていけますが、初心者であればエックスサーバーを選んだほうが安心と言えます。
管理画面の見やすさ
こちらは完全な主観にはなりますが、管理画面の見やすさは”エックスサーバー“が優れています。
エックスサーバーの管理画面
さくらのレンタルサーバの管理画面
エックスサーバーは「アカウント」「メール」「ドメイン」「ホームページ」「FTP」「アクセス解析」「データベース」「高速化」「WordPress」「PHP」「セキュリティ」と1画面で収まるようにカテゴリ分けされています。
一方、さくらのレンタルサーバは、新しい管理画面になったことで改善はされましたが、それでも実際に使うと分かりにくさは否めません。
この辺は、慣れの問題にもなってきますが、ある程度、Webを知っている僕から見ても初心者がとっつきやすいのは、エックスサーバーと言えます。
まとめ
エックスサーバーは「使いやすさ」「サーバー性能」「高速化機能」の点で優れていると言えます。
毎月1,000円(1日あたり約33円)の支払いが問題なければ、Webサイトの初心者から上級者までエックスサーバーが強くおすすめです。
実際、僕も僕もエックスサーバーを長年使っていますが、ページの表示速度も速く、非常に安定しており、初心者でも直感的に分かる管理画面で各種設定が簡単です。
また「エックスサーバー社長ブログ」を見れば分かりますが、新技術を積極的に導入する経営姿勢も評価できます。
さくらのレンタルサーバは「月額料金の安さ」を考慮するなら強くおすすめできます。
以前は、Webサーバーが「nginx(エンジンエックス)」に対応しておらず、突発的な大量アクセスで不安定な状態となっていましたが、一部「nginx」対応や各種機能の強化により差は縮まりました。
今後、がっつり専業でブログやアフィリエイトを運用するのであればエックスサーバーが良いですが、ゆるく始めるのであればコストの掛からない”さくらのレンタルサーバ”が良いでしょう。
手間はかかりますが、後からエックスサーバーに乗り換えることも可能です。